前回、仮想通貨等で儲かった場合、確定申告が必要ということをまとめました。
で、実際どうやんの?って話。めんどくさそー(-“-)ってことで、納税するほどの利益に縁はないですが、勉強ということで記事にしてみます!
仮想通貨の利益!サラリーマンの確定申告いつやるの?
確定申告の期間(いつまでにやるべきか)は、原則毎年2月16日から3月15日です。
確定申告の対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日
確定申告の提出期限:2025年2月16日~2025年3月15日
年末までの1年間分の収入を年明け3月15日までに提出しないとダメ。
仮想通貨の利益!いくら以上の収入があった場合に確定申告するの?
仮想通貨の場合、購入して利益が上がっても、画面上で何も触らなければ収入とならないので、確定申告は不要です。
実際に購入して売却した、など利益を確定した場合の所得は「雑所得」になります。
1年で20万円を超える給料以外の所得があった場合、確定申告が必要になります。
(仮想通貨の取引で得た利益が20万円以下の場合でも、ほかの所得との合計が20万円を超える場合には確定申告が必要です。)
これは、単に仮想通貨を利確して日本円に換金した利益だけが対象ではないので要注意!
- 仮想通貨を売却して日本円を得たとき
- 仮想通貨で商品やサービスの決済をしたとき
- 仮想通貨を他の仮想通貨に交換したとき(仮想通貨同士の取引をしたとき)
- ステーキングやマイニング、レンディングなどで仮想通貨を無償で得たとき
- ハードフォークによる分岐やエアドロップで未上場の仮想通貨を得て、売却したとき
と、引っかけ問題みたいな利益も対象なので詳しくは前回の記事を参照してください。
↓(仮想通貨の項目をチェックしてね)
仮想通貨の利益!サラリーマンの確定申告に必要なもの
まずは、手元に必要なものを準備しましょう。
・確定申告書
・源泉徴収票(本業分、副業分のすべてを添付)
・マイナンバーカードまたは通知カード(コピー)
・身分証明書(運転免許証、パスポートまたは健康保険証のコピーなど)
・年間取引報告書(購入している仮想通貨の取引所が発行)
仮想通貨の利益の計算「総平均法用」「移動平均法用」
仮想通貨取引でサラリーマンが20万円を超える利益を得た場合、1年間で発生した所得を確定申告で届け出る際に提出する計算方法が「総平均法」と「移動平均法」の2種類あります。納税者はどちらか一方を選択します。それぞれの計算方法はどうなの?
「総平均法」と「移動平均法」は、どちらも購入した仮想通貨の平均単価を計算するための方法です。
【仮想通貨の損益計算】
譲渡価格(売った価格) - 取得原価(買った価格) = 所得金額(損益)
「総平均法」「移動平均法」はこの譲渡原価を求めるための計算方法です。
総平均法…1年間に購入した価格全てを単純平均する方法
移動平均法…購入する都度、取得原価を計算し直していく方法
それぞれ計算するタイミングが異なるため、どちらを選択するかにより単年度の所得金額が変わることがあります。しかし、長期的に見ると将来発生する所得金額は同じになります。
どちらの計算方法がいいのか、それぞれの特徴やメリット・デメリットをみてみましょう。
仮想通貨の「総平均法」の計算
総平均法は、1年間の取引全てを集めて平均取得価額を計算する方法です。
【メリット】 | 【デメリット】 |
◆計算が簡単◆一時的な価格変動の影響が少ない | ◆利益の把握がしずらい◆最終の利益の誤差が生まれる |
総平均法のメリットは、計算が比較的簡単というメリットがあります。一定期間内の仮想通貨の「購入代金」を「購入数量」で除して求めるだけで平均単価が計算できます。
また、一定期間内の購入価格が平均単価にすべて反映されることから、購入時の価格が一時的に変動しても平均単価の計算においては影響を受けにくいというメリットもあります 。
総平均法のデメリットは、1年間の取引が終わってからでないと平均単価がわからないので、期中において「今どのくらいの所得があるのか」が把握しづらいです。そのため、納税資金の準備がしづらいという欠点があります。
また、実際の取引における利益と最終的な利益がかけ離れてしまう可能性があることも難点です。売買のタイミングによっては、実際の取引で発生した利益が少額だとしても、総平均法で計算したことにより利益が大きくなり、納税額が高額になってしまう可能性もあるのです。
仮想通貨の「総平均法」での実際の計算方法(簡単ver.)
【取引内容】対象期間:1/1~12/30
1/1に、100万円の時に2BTCを購入した。
9/1に、300万円の時に1BTCを売却した。
【原価計算】総購入金額200万円 ÷ 総購入数量2BTC=100万円
【損益計算】譲渡価格300万円 - 取得原価100万円 = 利益(所得)200万円
「移動平均法」と同じ結果です。
仮想通貨の「総平均法」での実際の計算方法(ややこしver.)
【取引内容】対象期間:1/1~12/30
1/1に、150万円の時に2BTCを購入した。
9/1に、400万円の時に1BTCを売却した。
10/1に、300万円の時に1BTCを追加購入した。
【原価計算】総購入金額(@150×2+@300×1) ÷ 総購入数量3BTC=200万円
【損益計算】譲渡価格400万円 - 取得原価200万円 = 利益200万円
年間の全購入額÷個数で割ったものが取得原価になる。
売却時までの平均取得価額ではなく、年間全ての購入の平均を求める必要がある点に注意しましょう。
仮想通貨の「移動平均法」の計算
移動平均法は、取得が発生する都度、平均取得価額を計算し直す方法です。
【メリット】 | 【デメリット】 |
◆損益が把握しやすい◆価格変動の調整をしやすい | ◆都度計算で手間がかかる |
移動平均法メリットは、期中のどの時点においても平均単価が明確になっているため、経済的な実態により即した損益を把握することが可能です。
損益状況を高精度で把握できるので、価格変動の影響を調整しやすいことや、納税資金を準備しやすいというメリットがあります。
移動平均法デメリットは、仮想通貨を購入するたびに平均単価の計算が必要になるため、その都度手間がかかるというデメリットがあります。
特に、取引回数が多い場合や複数の仮想通貨で取引している場合などは大きな負担がかかるでしょう。
仮想通貨の「移動平均法」での実際の計算方法(簡単ver.)
【取引内容】対象期間:1/1~12/30
1/1に、100万円の時に2BTCを購入した。
9/1に、300万円の時に1BTCを売却した。
【原価計算】総購入金額200万円 ÷ 総購入数量2BTC=100万円
【損益計算】譲渡価格300万円 - 取得原価100万円 = 利益(所得)200万円
「総平均法」と同じ結果です。
仮想通貨の「移動平均法」での実際の計算方法(ややこしver.)
【取引内容】対象期間:1/1~12/30
1/1に、150万円の時に2BTCを購入した。
9/1に、400万円の時に1BTCを売却した。
10/1に、300万円の時に1BTCを追加購入した。
時価 | 売買数量 | 保有 | 平均取得原価 |
1/1【購入】150万円 | +2 | 2 | 150万円 |
9/1【売却】400万円 | -1 | 1 | 150万円 |
10/1【購入】300万円 | +1 | 2 | 225万円 |
【1/1時点の平均取得原価】
購入金額(150万円 × 2BTC) ÷ 2BTC = 150万円
【最終12/31時点の平均取得原価】
購入金額(150万円 + 300万円) ÷ 2BTC = 225万円
↓
【原価計算】上記計算で225万円
【損益計算】譲渡価格400万円 - 取得原価225万円 = 利益175万円
「総平均法」で計算した場合の利益は200万円だったのに、「移動平均法」だと175万円。
は???
25万円もの開きがあります!!!
「移動平均法」は取得取引が発生する都度、平均取得価額を計算し直していく方法なので、9/1の売却取引の取得原価には、未来に購入する分は加味されません。そのため、9/1の売却取引時点の平均取得原価は150万円ですが、12/31の年末に残った保有残高の平均取得原価は225万円となります。
落とし穴がありそうですね…( ゚Д゚)
仮想通貨の「移動平均法用」「総平均法用」の比較
前項では、分かりやすいように簡単な内容での例でしたが、現実はもっと細かく売買することもあると思うので、再度ややこしい取引内容で両者の計算方法を比較してみましょう。
対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日
確定申告日:2025年3月15日
取引金額 | 数量 | ||
1/1 | 【購入】 | 150万円 | 0.05 |
2/1 | 【購入】 | 300万円 | 0.5 |
3/1 | 【売却】 | 500万円 | -0.03 |
4/1 | 【売却】 | 1000万円 | -0.3 |
8/1 | 【購入】 | 100万円 | 0.8 |
11/1 | 【売却】 | 800万円 | -0.2 |
12/25 | 【購入】 | 300万円 | 0.7 |
仮想通貨の「総平均法」の計算での所得金額
総平均法での所得金額を計算してみます。
国税庁のHPで提供している総平均法のエクセルで入力してみるとこんな感じ。
計算の内容をまとめてみるとこんな内容になるかと…。
金額 | 数量 | ||
年間購入 | 8,500,000 | 2.05 | – |
年間売却 | 23,000,000 | -0.53 | – |
12/31時点 | 平均取得原価4,146,341 |
年末保有数 × 1.52 |
年末保有金額 =6,302,438 |
年間購入金額 ÷年間購入数量 =平均取得原価 |
年間購入数 -年間売却数 =年末保有数 |
平均取得原価 ×年末保有数 =年末保有金額 |
|
年末保有金額6,302,438 | 年間購入合計 - 8,500,000 |
売却原価 =2,197,562 |
|
年間売却金額 23,000,000 |
売却原価 - 2,197,562 |
所得金額 =20,802,438 |
総平均法での所得金額は、20,802,438円です。
仮想通貨の「移動平均法」の計算での所得金額
次に移動平均法での平均取得原価を計算してみます。
国税庁のHPで提供している移動平均法のエクセルで入力してみるとこんな感じ。
ややこしい…( ゚Д゚)
アホなんで、どういう計算かチマチマ調べてみましたw
移動平均法の残高価格の計算は、アクションを起こすたびに計算されます。
売却原価(取得価格)の部分は、売却時の単価×数量の年間合計額です。
【売却価格】23,000,000-【売却原価】3,249,019
=【所得金額】19,750,981
移動平均法での所得金額は、19,750,981円です。
仮想通貨の「総平均法」と「移動平均法」での所得金額と納税額の差
はい、計算が苦手な頭がシュンシュン沸き上がりますね。
総平均法での所得金額は20,802,438円
移動平均法での所得金額は19,750,981円
でした。その差、1,051,457円です!!!
で、今回の「所得金額」と「給与所得」と「他の収入(総合課税)」と合算して↓
自分の該当する金額のところで計算して税額が決まります。
例えば、年収が3,600,000円の人の場合、
総平均法の 所得額での計算式 |
移動平均法の 所得額での計算式 |
|
給料 | 3,600,000 | 3,600,000 |
仮想通貨所得 | + 20,802,438 | + 19,750,981 |
総所得 | = 24,402,438 | = 23,350,981 |
控除額 | - 2,796,000 | - 2,796,000 |
課税対象金額 | = 21,606,438 | = 20,554,981 |
税率 | × 40% | × 40% |
納税額 | = 8,642,575円 | = 8,221,992 |
という計算になるハズです。
納税額の差は、420,583円出ます。どんだけぇ…( ゚Д゚)
今回の例の場合、一見すると、移動平均法の方が「オトクじゃん!」と見えますが、この差は、平均取得原価を計算するタイミングの違いで、単年度で所得に差が生じることはあっても、長期的な所得は同一となるみたいです。
仮想通貨の「総平均法」と「移動平均法」計算方法は3年間変更できない
「総平均法」「移動平均法」どちらで申告するかは届出によって変更することができますが、届出をしなかった場合は自動的に「総平均法」を選択したものと見なされます。(法人の場合は「移動平均法」)
計算方法を選択する届出は、仮想通貨の取得日の属する年分の確定申告期限までに行う必要がありますので、変更したい場合は忘れないようにしましょう。
一度選択した評価方法は、原則として3年間は変更することができないので注意しましょう。
仮想通貨の計算は銘柄ごとに計算しないといけない
「総平均法」「移動平均法」どちらで申告するかは、仮想通貨の銘柄ごとに選択することが可能です。一度選択した評価方法は、原則として3年間は変更することができないので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?あとは確定申告の画面で入力していけばOK。
一概にどっちがオトクかは長い目でみると「総平均法」「移動平均法」どちらで申告してもあまり変わりないとのことですが。
計算や入力が面倒な人は「総平均法」、面倒じゃない人は「移動平均法」でいいかな?と思います。
総平均法 | 移動平均法 | |
メリット | ◆計算が簡単 ◆一時的な価格変動の影響が少ない |
◆損益が把握しやすい ◆価格変動の調整をしやすい |
デメリット | ◆利益の把握がしずらい ◆最終の利益の誤差が生まれる |
◆都度計算で手間がかかる |
自分が仮想通貨と売買している取引所に年間取引報告書を発行してもらって、国税庁のエクセルに入力すればいいので、取引回数が少ない人や銘柄が少ない人は簡単かと思います。